旅に魅せられて

旅をした一コマを文章と写真で紹介します。

ゴッホの『夜のカフェテラス』を訪ねて:アルル、フランス

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カフェ・ファン・ゴッホ(写真上)

私が南フランスのアルルを訪れたのは、ある年の12月の寒い日だった。そのため、ゴッホが強烈な太陽の下で手にしたというものを期待して行ったのだが、もちろんそんなことはなく、しかも曇天。

しかしまあ、ゴッホもアルルに着いたのも冬だったし、アルルの第一印象も彼と同じく冬の印象で、それはそれでいいかもと思ったりした。

勘違いからアルルを目指したゴッホ

アルルでゴッホゴッホになったと言われる。そして、我々日本人に嬉しいのは、日本が大いに影響しているという事だ。
 
日本の浮世絵が大好きだった彼は、日本を求めてパリから南に下った。では、日本を求めてとは、どうゆう事であろう。
そもそも我々日本人には、日本と南フランスが結びつかない。
 
実は、浮世絵には影が描かれていないことから、日本という所は、よほど太陽が強く照らす地なのだろうと言わば彼は勘違いをしていた。彼だけではなく、当時のヨーロッパ人はそう思っていたそうだ。
ゴッホは、日本の太陽を求めて、アルルへ向かったのだった。

 

浮世絵の制作上における技術の限界もあり、影を画面に描けなかったのが事実ではあるが、ともあれ、その事実をゴッホが知らなかったおかげで、美術史における傑作の数々がアルルで生まれる。2日に1枚というペースで、200点もの作品を約14ヶ月で描きあげる。
 

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カフェ・ファン・ゴッホ(写真上)
アルルで描かれた一番有名な作品の一つ夜のカフェテラス』(1888)。この作品の舞台は今もアルルのプラス・ドゥ・フォルム広場に「カフェ・ファン・ゴッホとして営業中だ。

ゴッホは、夜のカフェを描いているが、ここでもやはり光が眩しい。カフェから出る照明の光が強烈に光っている。夜の情景を描いたものが、こんなにも明るいとはゴッホの色彩感には驚かされる。

この作品は例の耳切り事件の前に描かれており、ゴッホ自身充実していた時期だったのかもしれない。

現在のカフェも、絵に描かれている黄色の壁面を見せており、昼間に行ってもゴッホの作品の中に入ったような体験が出来る。

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ゴッホ夜のカフェテラス』(1888) クレラーミュラー美術館、オランダ
ゴッホは母親似で筆まめであったが、弟テオにこの作品について手紙で言及している。
夜の広場の情景と効果を描くこと、あるいは夜そのものを描くことに、すっかり僕は夢中になっています。」
この作品は、とても人気がある作品だ。オランダで本物を鑑賞された方も、本でしか見たことがない方も、アルルでゴッホが描いた場所に立ってカフェを眺めてみてはいかがだろう。
 
Photo and Writing by Hasegawa, Koichi
 
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