旅に魅せられて

旅をした一コマを文章と写真で紹介します。

スイスへの誘い

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在英中、突如高い山が見たくなった時がある。自分より、いや人間よりもずっとデカい何かを見たくなった。大学院で論文と格闘していた時期であったが、ちょうど論文も書き終ったため、初夏のスイス・アルプスへ向かった。


すぐインターネットで安い飛行機を探し、近くの空港からバーゼルまで飛ぶ。バーゼルからは列車でインターラーケンを目指す。ドイツから来たICEに乗り込んで、やがて列車は都会のバーゼルから山間部へと向かう。インターラーケン。もうアルプスは目の前だ。晴れた夏の日であったが、ユングフラウは雪をかぶっていた。

 

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正面にユングフラウが見える

地理的に見るとインターラーケンはスイスの真ん中あたりに位置する。トゥーン湖とブリエンツ湖の間にある町だ。ちなみにトゥーン湖を上がっていくとやがてベルンに至る。またブリエンツ湖を行くとルッツェルンに至る。

インターラーケンは登山鉄道の発着駅があるアルプス観光の拠点になる町で、多くの人で賑わう。アルプスへ向かう多くの旅人が通る町だ。

 

旅先での出会い

僕のお気に入りの時計であるスントは、アウトドア用の腕時計でフィンランド製品だ。この時もスントをしていた僕は、この腕時計がきっかけでちょっとした会話がうまれた。

 

インターラーケンの店に入ってポストカードを見ていたら気さくな店員さんが僕のスントを見て、

「君のスント、カッコいいね!山が好きなの?」

と話しかけてきた。

「ええ、山は好きです。」

しばし会話する。スントをしているのを見てすぐに山が好きかと聞いてくるあたりが山岳地だなぁとつくづく思う。この時計を買った場所は新宿で、特に山を意識して買ったわけではなかったが、なるほどスントは山好きの人たちの間では人気なのか。

色々とオススメのハイキングコースを教えてくれる。さすが地元の人はよく知っているものだ。

ただ山を見たいというだけでアルプスまで来たが、ハイキングという楽しみ方を教えてくれたのは彼だ。よし、山間のグリンデルワルトに行ったらハイキングをしよう。

「ところで、この辺にチーズフォンデュが食べられる店はあります?スイスといえばチーズフォンデュが有名ですよね。」

僕はスイスに来たからには名物を食べたかった。秋田に行ったらきりたんぽ鍋、マルセイユに行ったらブイヤベース、そんなノリでスイスではフォンデュと思ったのだ。

「笑 この暑いのにスイス人はフォンデュは食べないよ。あれは冬の食べ物さ。」

なるほど、日本で鍋を真夏に食べる感覚かと納得。ここはスイス人の習慣に慣い、真冬にきた時に食べるかと諦める。

さよならを言って、店を出る。だいぶ楽しく話し込んだみたいだ。

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宿はアーレ川沿いににあるリバーロッジ。川の対岸に渡るとインターラーケン東駅。ここからアルプス山間の美しい村々へ登山鉄道がのびている。

 

湖と湖を結ぶ川なため、とても穏やかだ。対岸には山が見える。

このロッジではバーベキューが出来るため、駅近くにあるスーパーで買い出しをしてバーベキューを楽しむグループも見かけた。さて夜は何を食べようかと思っていたら、ちょうど日本人夫婦と出会う。定年されて、ご夫婦でよくアルプスのハイキングに来るそうだ。話が弾み、バーベキューをしようとなった。野外で火を焚くなんて何年振りだったか。

 

やがて山々に日が落ち、川辺のロッジにも夜がきた。沢山の話と、美味しい肉とビールをご馳走になる。旅先で会うこうした出会いは、一生の思い出になる。

 

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日も落ち山々に夕暮れの日の光があたる

 山を見にスイスへ来たが、山の入り口の町であるインターラーケンでは色々な出会いがあり、インターラーケンを思い出すと、彼らを思い出す。

スイスへの誘い。美しい山々と共にそこで出会った人の思い出が、また僕をスイスへ誘う。

 

Photo and Writing by HASEGAWA, Koichi